【2026年最新】建設業界のAI活用事例6選!生成AIに可能な業務や導入の注意点も解説
株式会社C And 代表取締役
2024年問題による時間外労働規制の適用から2年。2026年現在、建設業界は「ただの効率化」ではなく、AIを前提とした「業務プロセスの再構築」が求められるフェーズに突入しています。
特に建設業界はデータをもとに分析することやゼロから作り上げることの多い職種のため、生成AIの活用範囲が広い業界です。
国土交通省が進める「i-Construction 2.0」により、施工のオートメーション化やBIM/CIMの原則化が加速する中、AIを使いこなせるかどうかは企業の生存に直結します。
本記事では建設業界における生成AIの活用法について、事例に基づいて紹介していきます。
目次
生成AIとは
生成AIとは、大量のデータから学習して様々な形式のデジタルコンテンツを自動的に作り出す技術を指します。テキスト生成や画像生成、動画生成や音声生成など、生成可能なものは多岐にわたります。
生成AIは、こちらからの指示文に合わせてほしいテキストや画像など全く新しいものを自動で作り出してくれる大変便利なツールなのです。
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建設業界で生成AIを導入すべき2つの理由
深刻化する人手不足への対策
2024年からの時間外労働規制の適用により、従来の「労働時間でカバーする」という手法は完全に限界を迎えました。2026年の今、現場が直面しているのは人手不足の先にある労働力そのものの減少です。
AIを活用した日報の自動生成や、施工管理のデジタル化による事務作業の削減は、限られた人員で現場を回すための解決策の1つです。
熟練技術者の経験のデジタル継承
ベテラン技術者の退職と同時に、若手への技術継承が追いつかない「技能の断絶」が大きなリスクとなっています。
AIは、熟練者が長年培ってきた判断基準や設計のノウハウをデータとして学習し、組織の共有資産に変えることができます。属人的な職人技をAIがサポートする形で標準化することで、経験の浅い若手でも高い品質と安全性を維持することが可能になります。
建設業界の生成AI活用事例6選
ここでは実際に企業がどのように生成AIを導入しているのか、具体的な事例を6つご紹介します。
デザインから骨組みまで一貫してAIが完結させるDX戦略【大林組】
①AiCorb(デザイン・3Dモデルの自動生成システム)の開発

大林組は2022年、SRIと共同でスケッチや3Dモデルから様々なファサードデザインを提案できるAI技術「AirCorb」を開発しました。
建物の顔となるファサードデザインを顧客に提案し、対話することで実際の建物のイメージについて合意を図るわけですが、従来は設計者がアイデア出しからデザイン案の作成まで手作業で行っており、かなりの時間と労力を要していました。しかし、AirCorbはスケッチ3Dモデルからいくつかのファサードデザイン案を提案してくれるので、これらの業務を短縮できます。
現在の「AiCorb」は、初期の画像生成から大きく進化しています。3Dモデル化支援機能を備え、社内で本格運用中です。特にBIMソフト(Revit)と直接連携できる点が強みで、AIの生成したデザイン案を即座に設計データへ反映可能です。単なるアイデア出しを超えた実践的ツールとして活躍しています。
参考:大林組「建築設計の初期段階の作業を効率化する「AiCorb®」を開発」
②構造設計支援AIプログラムの開発

大林組は設計者にとって大きな負担となっていた、構造設計の「断面設計」を自動化するAIプログラムを開発しました。
このプログラムには、①AIの自動グルーピングにより、構造部材の長さや地震など多様な条件から部材を自動分類し、最適な配置計画を立案する機能 ② 熟練設計者のノウハウを数式化し、建物全体のバランスを考慮した最適な部材サイズ・断面の提案機能があり、従来は数時間かかっていた計算を数分に短縮し、設計者の負担を大きく減らすことにつながっています。
参考:大林組「断面設計を自動で行う構造設計支援AIプログラムを開発」
高精度な建設コスト予測【西松建設】

近年物価変動が激しく、建設コスト予測は大変難しいです。西松建設が導入したxenoBrainは経済予測を行う生成AIです。xenoBrainは、どんなニュースや統計に影響を受けているのかまで説明してくれるなど、経済レポートも生成します。
建設コストを予測するだけでなく、材料の価格変化も追うことで価格上昇に備えて早めに発注するなど、様々な場面で経済的判断材料として利用できます。人間の予測よりはるかに多くのデータをもとにより正確な予測をすることができるのが生成AIを導入する魅力といえるでしょう。
参考:xenoBrain「建設業界の物価変動を経済予測AIで先読み」
従業員が利用できる安全なAIチャット・開発アプリの内製化【鹿島建設】
①Kajima ChatAIの構築

鹿島建設は2023年に、自社専用の対話型AI「Kajima ChatAI」を構築し、国内外のグループ会社の従業員も含む約2万人を対象に自由に社内で使えるよう設計しています。
「Kajima ChatAI」は入力した情報が外部の学習に使用されない安全な環境となっており、ChatGPTと同等のAIモデルです。利用用途は多岐にわたり、情報収集・分析、アイデア出し・企画書、英語や中国語の翻訳、プログラミングなどに利用できます。
参考:鹿島「KAJIMAダイジェスト Kajima ChatAI」
②AIツールの自社内製化

2025年には、日本マイクロソフトの技術支援(CodeWith)を活用し、自社のエンジニアがAzure OpenAIを用いた高度な開発メソッドを習得する取り組みが行われました。現在ではKajima ChatAIのような汎用ツール提供にとどまらず、鹿島建設独自の業務に特化したAIツールを自社内で開発・実装できる環境が整備されています。
参考:日本マイクロソフト 「AI 活用による生産性向上に取り組む鹿島。Microsoft Unified の CodeWith を活用し、内製化に必要な開発プロセスの知識を習得」
リノベーションのイメージ画像を生成【株式会社mign】
リノベーションなどの際、対象となる元々の物件の画像や間取りをもとにデザイン案を作成し、顧客の要望に合わせて調整していく必要があります。設計者は多くのデザイン案を作成するのにかなりの手間と時間がかかってしまいます。
株式会社mignが開発した生成AI「renorf」は、元々の画像のデザインのテイストを変更した画像を生成することができます。この「renorf」を活用することで、デザイン提案を作成する手間・時間を減らすことができるのです。
株式会社mignはこれ以外にも「anosite for disaster」「piqpos」などといった建設業界で利用可能な多くの生成AIを開発しています。
参考:株式会社mign「renorf」
施工計画書の自動作成支援システム【大成建設】

公共工事における全体施工計画書は、国土交通省の指針に沿って書式や章立てが具体的に決まっています。その内容は工程や施工方法、使用資材・機械…と多岐にわたり、工事規模によっては膨大なページ数になることがあるため、作業負担の増大と属人化が大きな問題となっていました。
そこで大成建設は、最新の生成AIである視覚言語モデル(VLM)を基盤としたマルチモーダル生成AIを活用し、施工計画書の原稿を自動で作成できるシステムを自社開発し、大幅な時間短縮と品質の均一化を図っています。
参考:大成建設「最新生成AIを活用した土木工事の「全体施工計画書作成支援システム」を開発」
リアル空間の状況変化・異変をチャットで報告【MODE, Inc.】

MODE, Inc.は、リアル空間の状況変化をチャットで報告したり、異変を察知して報告したりすることが可能な対話型生成AI「BizStack AI」を開発しました。
対話型AIは人間が送った質問に対して答えてくれるのが一般的ですが、「BizStack AI」では、リアル空間の情報を常にモニタリングし、人間が知るべき異変があった場合など適切なタイミングで自動的に会話を始めてくれるのが特徴的です。この生成AIを使えば、対話形式で必要な情報を得られるため、現場などPCを使えない環境でも現場データを活用できるようになります。
最新のアップデートでは、以下の機能が追加されています。
BizStack 追加機能【2025~2026年最新版】
- 騒音、豪雨、突風のリアルタイム可視化機能の追加による安全対策
- 異常発生時の現場映像の表示機能の追加
- “現場のAI監視員”が車両の出入りを常時監視する車両検知機能の追加
参考:PR TIMES 「BizStack、「すぐ見たい」に応えるダッシュボード新機能」 MODE, Inc. 「Biz Stack アップデート・ニュース」
建設業で生成AI活用が可能な業務
建設業界の中で、生成AIの導入によって効率化が進むと思われる業務を4つご紹介します。
設計業務
生成AIは、過去の建築物のデザインや構造データを元に、新しい建築物の設計を提案することが可能です。一から設計図を書くよりも生成AIの提案を参考に進めたほうが効率的に業務を進められます。
また、画像生成AIを使用すれば、顧客との設計打ち合わせを行う際等に使用する「住宅のイメージ図」を作成することもできます。
工事計画
建設業の中でも特に施工管理などでは全体の工事計画(工程、予算など)を立てる業務があります。工事計画は、人員や予算、設計図など数々の要素をもとに作り上げなくてはなりません。また、今までの経験からより正確な工事計画を作成する必要があります。
このようにデータの分析を伴う予測はAIの得意分野です。多くのデータをもとに工事計画を生成することが可能になります。
安全対策
安全対策は作業員や顧客のことを守るためにも最も重要な業務の一つです。多くのリスクを想定し、それらに対して対策を講じる必要があります。ただし、人が行う安全確認は経験や知見に依存するため属人化してしまうことや安全対策が形骸化してしまうことが問題視されてきました。
生成AIは膨大な工事のデータをもとに、正確に漏れなくリスクを指摘し、それに対する安全対策を提案してくれます。生成AIのこうした活用法によって、より確実な安全対策が可能になるのです。
人材育成
建設業界においては、経験が重要であるという背景も影響し、人材育成は重要かつ困難な業務の一つです。経験をもとに臨機応変に対応すべき専門性の高い業務内容に関しては、知識を伝えることはかなり難しいでしょう。
そこで、今までの経験をもとに培ったナレッジをAIに学習させることで、場合に応じて必要な情報をチャットなどでAIが答えてくれるシステムを人材育成に活用することが有効な手法だと考えられています。
AI導入時の3つの注意点
ここまで業務を効率的に進めることのできる生成AIについて解説してきましたが、生成AIを導入する際にはリスクも伴うことも知っておかなければなりません。ここでは、生成AIを導入する際の注意点を3つご紹介します。
情報漏えい
生成AIはユーザーが入力したデータを学習に利用します。そしてそのデータは、代わりに他の誰かのプロンプトに答えるために使用されるかもしれないのです。よって、個人情報や企業の機密情報を入力し、情報が流出してしまう危険性があります。
これを防ぐためには、生成AIツールなどへ機密情報などを入力しないようにすることが必要です。企業で導入する場合には、生成AIのアクセス権を制限したり、社内での使用ルールを策定すると良いでしょう。
誤情報の生成
生成AIは事実に基づかない誤情報を生成する危険性もあります。出力結果に誤情報が含まれている、あるいは指示と合わないコンテンツが生成されるなどの場合があります。
これは、生成AIが蓄積された学習データに基づいてコンテンツを生成するために、学習データが誤っていた場合などに起こり得ます。対策として、AIに与えるデータを多様化させることが重要です。
ただし、どんなに精度の高い生成AIであっても構造上誤情報を生成する可能性があるため、人間がAIが生成した内容を確認・編集するプロセスを標準化することが大切です。
著作権の侵害
生成AIのリスクとしてよく挙げられるのは著作権の侵害です。基本的には生成AIによって作られた文章や画像は、思想又は感情を創作的に表現したものではないため著作物には該当しないとされています。
しかし、生成AIによる表現が特定の作品などに酷似している場合など、著作権侵害にはならずともレピュテーションリスクはあるため、生成されたもののチェックを行う必要があります。
まとめ
本記事では建設業界におけるAIの活用の活用事例をご紹介しました。
2026年現在、AI導入はもはや一部の企業による先進的な試みではなく、業界全体の標準となりつつあります。現在は導入の是非を問う段階を過ぎ、「どのAIを、いかに現場実務へ最適化させるか」という、運用の習熟度が企業の競争力を左右するフェーズにあります。
本記事で紹介した事例を、ぜひ貴社の現場に当てはめてみてください。生成AIの活用による業務効率化は、建設業界が抱える慢性的な人手不足を打破する極めて有効な手段です。
本記事が、貴社におけるAI導入の検討、および持続可能な現場環境の構築に向けた一助となれば幸いです。
木俣太地
また、前職の株式会社MIXIで培ったブランドプロモーションスキルを活かし、話題化戦略を意識した制作した生成AI活用のアニメCMは、Xにて680万インプレッションを記録。幅広い形で生成AIを活用して、企業の課題解決に貢献。

