ブレストに生成AIを活用できる?具体的なやり方・ポイント・メリットなどについて解説!

未分類 活用事例

株式会社C And 代表取締役

監修 木俣太地

ブレストは本来、複数人でアイデアを共有し新たな発想を得る方法です。そんなブレストに生成AIをどのように活用するのか?

本記事では、そのやり方やポイント、生成AI活用が有効な場面などについて解説しています。

ブレストに生成AIを活用することは有効?

ブレストと聞くと、意見を出しあう相手が必要なように思うかもしれません。

しかしもし、アイデア出しを自分だけで完結したい場合や、ブレスト相手がいない場合には、生成AIもブレストの相手として活躍してくれます

そんな生成AIをブレスト相手にすることで、以下のようなメリットを得ることができます。

ブレストに生成AIを用いる3つの利点

  • 客観的な視点から情報を得ることができる
  • 時間的な制約を受けない
  • 自分の状況にあったブレストができる

客観的かつ柔軟な情報を得ることができる

同じ会社内の方や同じ業種の方とブレストを行う際には、アイデアや意見が偏ってしまいがちなケースもあるでしょう。

このような場合に生成AIを用いてブレストを行うと、AIが客観的かつ柔軟な意見を出してくれるため、アイデアや意見の偏りの減少が期待できます。

意見の偏りが減ることで、自身や会社内だけではたどり着き得なかったようなアイデアにたどり着ける可能性が高まるでしょう。

時間的な制約を受けない

AIであれば、24時間365日あなたの質問に対応してくれます。そのため、時間的な制約を受けずいつでもブレストを行うことができます。

いつでもできるということは、何かアイデアを思いついた瞬間にそのアイデアについてさらに深く思考したり、逆に全く思いつかないといった際にアイデアを出すヒントをもらうこともできます

このように時間や相手の予定などを気にせず、気になったことを聞くことができる点は、AIならではの利点でしょう。

自分の状況に合ったブレストができる

ブレストにはアイデアを出す目的で行われるものもあれば、思考を深めるために行われるものもあります。

思考を深めるブレストを行う際には、ブレスト相手のテーマについての理解度が自分とあまりに異なると、十分に思考が深められないことがあります。また、人に聞くまでではないがアイデアが欲しいといった場合もあるでしょう。

このような際に、生成AIに自分の状況に合った質問をすることで、状況に合ったブレストを行うことが可能になります。

生成AIを用いたブレストのやり方

ここでは、実際に生成AIを用いてブレストを行ってみます。

今回はプロンプト(質問文や指示文)をチャット形式で送ることで高性能なAIが文脈に応じて高度な回答をしてくれるChatGPTを用いて、以下の3つのケースで実演しました。

プロンプトのテンプレートも同時に紹介しているので、適宜変更しながら活用してみてください。

生成AIによるブレストの3つのケース

  • 多くのアイデアを得たいケース
  • 独創的な発想を得たいケース
  • 思考を深めたいケース

1.多くのアイデアを得たいケース

生成AIによるブレストを行うことにより、一般的なものから具体的なものまでアイデアを多く得ることができます。

今回はとあるカフェの商品開発担当者として、なるべく多くの商品案を出したいケースにおいて実践します。案が多く欲しい場合には、「なるべく多くの案を出して」とChatGPTにお願いすることが有効です。

ChatGPTには生成できる文字数に制限があるため、多く案を出してもらう場合一つ一つの内容は薄くなってしまいます。そのため、状況に合わせてプロンプトを変更することで、求める回答が得られる可能性が上がります。

では、実際にやっていきましょう。

図のような質問を投げると、以下のように実際に商品案を提案してくれます。

「なるべく多く」というプロンプトをつけることで、つけない場合と比較して多く生成してくれます。もっと案が欲しい場合には、「他には?」と追加質問することで追加の提案をしてくれます。

またイメージと異なる場合は、要件の変更や追加を行い、もっと詳しくして欲しい場合は「もっと詳しく」とお願いすることで解決できるかもしれません。

このように、生成AIは自分のイメージを反映させた多くのアイデアを得たいときにはとても有効です。

プロンプトのテンプレート

#命令
あなたは[職業や職種、状況]のプロです。[ブレストしたいテーマ]案を以下の要件に沿ってなるべく多くの案を出してください。
#要件


2.独創的な発想を得たいケース

質問のプロンプトを工夫することで、独創的な発想を得ることも可能です。
例えば、以下の図のように「水平思考で考えて」と指示することで、指示しなかった時とは異なる視点からの案を出力してくれます

今回は水平思考を用いた例を上げましたが、アイデアだしの際に有効なものとしてフレームワークの活用があります。アイデアだしに有効なフレームワークとして、オズボーンのチェックリスト、SCAMPER法、ペイオフマトリクスなどもあります。
以下に、各フレームワークについての説明もあるため、気になる方はチェックしてみてください。

アイデア以外にも状況に合わせたフレームワークを使うことで、ブレストに普段とは違う視点を取り入れることも可能です。

プロンプトのテンプレート

#命令
あなたは[職業や職種、状況]のプロです。[ブレストしたいテーマ]案を以下の要件に沿って[フレームワーク]で案を出してください。
#要件


フレームワークについて詳しく見る

・オズボーンのチェックリスト
新たなアイデアを出すための転用、応用、変更、拡大、縮小、代用、再配置、逆転、結合の9つの視点のことをオズボーンのチェックリストといいます。

このフレームワークによる回答をChatGPTにお願いすることで、各項目に沿った案を出してくれます。

・SCAMPER法
新たなアイデアを出すための7つの視点の頭文字をとって名づけられたフレームワークです。

このフレームワークによる回答をお願いすると、Substitute(代用)、Combine(結合)、Adapt(応用)、Modify(修正)、Put to other uses(用途転換)、Eliminate(削除)、Reverse(逆転)の7つの視点に沿って回答を生成してくれます。

・ペイオフマトリックス
2つの基準を設け、それぞれの高低により4つの領域に分けて評価していくものです。

例えば今回の例の場合、新商品発売による効果と実現性を軸として、高効果・高実現性、高効果・低実現性、低効果・高実現性、低効果・低実現性の4つの領域による評価をしてくれます。

自ら軸を設定して検証するといったこともできるため、柔軟性はこれが最も高そうです。

3.思考を深めたいケース

思考を深める際にも、生成AIを用いたブレストは有効です。
今回ご紹介するのは、ディスカッション形式で案を出してもらうことで、懸念事項などをはっきりさせつつ案を広げていくものです。先ほどと同じ要件で、以下に示す3人で今回は実際にディスカッションしてもらいます。

すると以下のように、テーマに沿ったディスカッションが進行していきます。

上記のようなさらっとしたプロンプトでも、これだけの議論を展開し最終案を出してくれます。もっと具体的なイメージがある場合は、そのイメージをChatGPTに共有することで、イメージに沿った議論を展開してくれます。

このようにアイデアに付随する情報も客観的な視点から得ることもでき、ただ質問するよりも深い思考を得ることに役立つでしょう。

プロンプトのテンプレート

#命令
[ディスカッションを行う背景]で、以下の[]人のディスカッションによって、[ブレストしたいテーマ]の案を出したい
#要件



#ディスカッションするメンバー
##

##

##

ブレストをする際に活用したいツール4選

近年多くの生成AIが出てきていますが、実際どのツールを使ったらいいか迷う方も多いと思います。

結論からいうと、以下のような対話型生成AIのうちすでに使用されているものや最も使いやすいものを用いるのがいいと思います。

ここでは、おすすめの対話型生成AIの他と比較した際の強みなどについて解説します。

おすすめの対話型生成AI4選

  • ChatGPT
  • Gemini
  • Claude
  • Copilot

ChatGPT

ChatGPTは、Open AI社が提供する対話型生成AIです。このツールはテキスト生成を強みとしています。そのため、文章生成の自然さや文脈理解に特に優位性があります。

またChatGPTはユーザーが多いため、使い方や活用術についての情報が多くあるのが特徴的です。

無料でも使用できますが、無料版で物足りなくなった際には、有料プランを利用することで、非常に高性能なモデルの使用も可能になります。このようにChatGPTは、初めて使う方から生成AIをある程度使いこなせる方まで幅広くおすすめできるツールです。

Gemini

Geminiは、Googleが提供する対話型生成AIです。Geminiは、Google検索をもとにした情報にアクセスできます。
そのため情報収集やトレンドなどの最新の情報を必要とするブレストを行う場合には、特に有効でしょう。

またこのツールは、Google Workspaceへの情報のエクスポートもできるため、Google Workspaceを使用している方は一度試しに使用してみると良いかもしれません。

Claude

Claudeは、Anthropic社によって開発された対話型生成AIです。Cloudeは、コード生成やプロンプトの図式化などを得意としています。

また、Cloudeには「Artifacts」機能があり、これを用いると生成したドキュメントやコード、図表をチャット履歴とは別に保存できます。

そのため、エンジニアの方やコンテンツを作成される方に特におすすめのツールです。

Copilot

Copilotは、Microsoft社がビジネス向けに設計した生成AIツールです。

Microsoft社が提供するサービスのため、Microsoft 365と統合されており、ChatGPTのようなチャット型のAIを利用することができます。さらに、ChatGPT Microsoft 365 Copilotを導入することで、WordやExcel、Powerpoint等にAIを導入することができます。

そのため、日常的なタスクにMicrosoft 365を用いる方はCopilotを用いることで、ブレストと日常的なタスクの効率化の双方が可能になるでしょう。

ブレストに生成AIを活用する際のポイント

生成AIを活用したブレストの際には、以下のようなポイントに気をつけるとより有効なブレストを行うことができるでしょう。

ブレストに生成AIを活用する際のポイント

  • 質問内容の生成をお願いする
  • 具体的なイメージをプロンプトに組み込む
  • 回答が求めていたものと異なる場合は、何度も質問する

質問内容の生成をお願いする

ブレストをしようと思い立ったものの、そもそも生成AIにどんな質問をすればいいかわからないといったこともあるでしょう。

その場合には、生成AIに「~についてブレストをしたいのですが、質問にはどんなものがある?」と質問することで、質問項目の候補を出力してくれます。

このように何から初めていいかわからない際にも、生成AIを用いることでスムーズなスタートを切ることができます。

具体的なイメージをプロンプトに組み込む

一般的な情報を知りたい場合には、具体的なイメージを組み込んでいない質問でも十分な回答が得られます。

しかし企画立案のためのブレストや、デザイン案についてのブレストといった具体的なイメージや要件がある場合、そのイメージや要件を組み込んだ質問を生成AIにすることで、それらを組み込んだ回答を生成してくれます。

イメージや要件を組み込む際には、質問が長くなりすぎないように、箇条書きやマークダウン方式で要件やイメージを書き出すと良いでしょう。

また、この際に改行などにより質問作成の途中で生成AIに質問を投げてしまうこともあるため、先にwordやメモで質問内容を作成するのもおすすめです。

自分の求める回答が出るまで何度も質問する

生成AIの回答は、簡潔に回答するためにあえて情報や提案の数を省いて回答することがあります。
そのため何度も質問をすることで、これらの情報を引き出し自分の求める回答に近づけて行くことができます。

具体的な例として、詳しく知りたい場合は「○○についてもっと詳しく教えて」「全体的にもっと詳しく教えて」、もっと多くの案を出力して欲しい場合には「他には」といった質問を投げると良いでしょう。

生成AIを用いたブレストはどんな場面で役立つ?

生成AIを用いたブレストでは、人と行うまでもないテーマや自分一人でもできるようなテーマを扱う際に特に有効です。今回はそんな場面の例として3つご紹介します。

ブレストに生成AIを用いると有効な場面

  • 学びを得たいとき
  • アイデアに行き詰ったとき
  • 複数の選択肢で迷ったとき

学びを得たいとき

解決策が自分では見つからない課題や知識が十分についていない領域の勉強の際には、人に聞きづらく多くの時間をそれらに費やしてしまうこともあるでしょう。そういった際には、生成AIを用いたブレストが有効です。

このような活用の例として、プログラミングコードのエラー修正の案出情報収集Excelの関数の創出といったものがあります。

このような、人に聞きづらいが早めに解決したい課題や効率的に情報を得たい場合に、生成AIを用いたブレストは有効です。

アイデアに行き詰ったとき

アイデアに行き詰った時には、生成AIの活用は有効です。
自分で案を出して見たもののあまり多くの案が出なかった際などには、生成AIから客観的なアイデアをもらうことで、アイデアの幅を広げることができます。

例えば、キャッチコピーやデザインの案出や、ある課題に対する対策や施策の提案などで使用することができます。今挙げた例はほんの一部であり、柔軟なアイデアを得たいときには広く有効な手段になるでしょう。

複数の選択肢で迷ったとき

意思決定をする際にも、生成AIによるブレストは有効です。
課題に対する解決策の案としてAとBというものがある場合に、生成AIと対話形式で課題についての解像度を上げていくことで、どちらの方が課題解決に対して有効かといった検証を行うこともできます。

このように自分一人では決断できないような場合に、第三者からの意見を生成AIにもらうといった活用もできます。

生成AIでブレストを行う際の注意点

生成AIは便利である一方、使用する際には注意点も存在します。

以下に紹介する注意点に気をつけながら使用することで、生成AI使用によるトラブルを避けることができるでしょう。

生成AIでブレストを行う際の注意点

  • 誤情報に注意する
  • コンプライアンス
  • 倫理の遵守・情報漏洩を防止する

誤情報に注意する

生成AIにはハルシネーションという、事実に基づかない情報を生成する場合があります。

このような現象がある以上、生成AIが生成した情報には常に懐疑的な目を向けることを意識すると良いでしょう。

特に、リサーチ・情報収集といった場面で使う場合には注意が必要です。ChatGPTなどの生成AIは、非常に整理された情報を得ることができる反面、回答内容が必ずしも正しいとは限りません

そのため、出力された情報が事実かどうかを一度自分で調べてみるといった対策を講じることで、誤った情報を収集してしまうことを防げます。

情報漏洩を防止する

生成AIには、入力したデータを学習する機能が備わっている場合が多くあります。そのため、個人情報や会社の機密情報をむやみに生成AIに入力すると情報が漏洩する恐れがあります。

機密情報を扱う場面で使用をする場合、機密情報を打ち込まないことが最善ですが、万が一の場合のリスクマネジメントのためにChatGPT for teamsというビジネス利用向けのサービスを使用する、設定から入力内容の学習をストップするといった対策を講じた上で使用する必要があるでしょう。

コンプライアンス・倫理の遵守

上記で説明したような情報漏洩も例外ではありませんが、コンプライアンス・生成AI倫理を遵守する必要があります。

AIが生成する情報は非常に一般的な情報が多いです。そのため、利用が適切な場合と不適切な場合があり、それを見極める必要があるでしょう。他にも、個人情報の取り扱い、著作物の取り扱いといったことにも注意を払う必要があるでしょう。

これらのコンプライアンス・倫理的な観点については、日本ディープラーニング協会「生成AIの利用のガイドライン」を参考にすると良いでしょう。

生成AIを活用する側になりましょう

生成AIは、注意点はいくつかあるもののその点に注意して活用することで莫大な効果を得ることができます。

まずは生成AIを使ってみて、自分の業務にあてはめた使い方をいくつも試していくことで、生成AIを最大限利用できるようになるでしょう。

生成AIをうまく活用できる側になり、業務を積極的に効率化させて行きましょう。
生成AIについてもっと知りたい方は以下の記事を参照してみてください!

合わせて読みたい記事はこちら

株式会社C And 代表取締役 / 企業の業務課題をきちんと解決できるChatGPT・生成AI活用の研修/コンサルティングのプロ。
また、前職の株式会社MIXIで培ったブランドプロモーションスキルを活かし、話題化戦略を意識した制作した生成AI活用のアニメCMは、Xにて680万インプレッションを記録。幅広い形で生成AIを活用して、企業の課題解決に貢献。